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体のエンジン!生体エネルギー機構(代謝系)について知ろう➀

こんにちは!本日は体のエンジンであるエネルギー生産機構(代謝系)について解説します。
皆さんは、ダイエットするにあたって「代謝」という言葉を聞いたことがあると思います。

代謝とは、炭水化物や脂質などから人間が使える唯一のエネルギー「ATP」を作り出す過程のこと。ATPは体中に存在し、アデノシンにリン酸基が3つくっついた形をしています。アデノシンとリン酸基の間には大きなエネルギーが蓄積されています。

脳が筋肉の収縮を神経系に命じると、筋フィラメント内ミオシンにあるATPアーゼという酵素が反応し、ATPリン酸基を一つ取ってADPという物質に変化させます。この際解放されるエネルギーを使って筋肉は収縮しています。
さて、活動を続けるためには新たなATPが必要です。
このため、人間には、代謝というメカニズムを利用してATPを生産する機構が大きく3つ存在します。

ATP-CP系(ホスファゲン機構)

・場 所
 筋フィラメント内ミオシン
・ATP生成量
 2ATP
・燃 料
 クレアチンリン酸
・エネルギー生成速度/持続時間
 瞬時/即時~8秒程度

ATPーCP系は、ADPからATPを再合成する機構です。
燃料はクレアチンリン酸というクレアチンにリン酸基がくっ付いたもの、クレアチンキナーゼを触媒として、クレアチンリン酸からリン酸基をADPに移す反応(ATPの合成)をします。
反応に必要な材料が筋内に備蓄されていること、反応が単純であることから素早くATPを合成できます。このため、他のエネルギー生産機構が働き始める前のあらゆる動作の初動で使用されるほか、静止状態から爆発的な筋収縮を伴う運動のメインエンジンとなります。
ただし、クレアチンリン酸は筋内に少量しか存在せず、再充当には肝臓における再合成を待たなければならないため持続時間は8秒程度と極めて限られたものになります。
また、ATP-CP機構の働きにより、筋中のATPレベルが回復するのには3分~5分ほど時間がかかります。
このため、高重量を低レップで扱うトレーニングの場合は、長めの休息を取ることが推奨されているんですね。
ADPが蓄積すると、アデニル酸キナーゼが二つのADPから一つのATPとAMP(アデノシンにリン酸基が一つ付いたもの)を合成し、AMPの増加は解糖系の反応が開始されるスイッチとなります。
クレアチンというサプリは、肝臓においてクレアチンリン酸を合成する際の原料になります。肉類にも多く含まれていますが、加熱で失われやすいので調理には工夫が必要です。

解糖系

・場 所
 細胞質基質
・ATP生成量
 2~3ATP
・燃 料
 筋グリコーゲン又は血中グルコース
 ※炭水化物
・エネルギー生成速度/持続時間
 速い/運動開始から数秒後?~180秒程度

解糖系は、筋肉に蓄えられたグリコーゲンや血中のグルコースからATPを生産する機構です。なお、グリコーゲンもグルコースも炭水化物の代謝物になります。
解糖系は、AMPの増加をスイッチとして反応を開始します。解糖系の反応は、燃料の種類又は酸素の有無によって複雑です。
解糖系は、早い段階においては、筋肉に蓄えられたグリコーゲンを燃料として3個のATPを生産(早い解糖)します。時間の経過により血中のグルコースが筋細胞に運ばれて燃料として使用され、2個のATPを生産(遅い解糖)し、いずれの場合も最終的にピルビン酸が生成されます。
ピルビン酸は、酸素が十分な場合は別のエンジンであるTCA回路に移動し燃料となりますが、酸素が十分でない場合は乳酸に変換され、細胞内(細胞質基質)に保管されます。ピルビン酸は不安定で直ちに分解されますが、乳酸に変換される事で一時間ほどの保存が効くようになるためです。酸素が供給され次第、乳酸は乳酸脱水酵素によってピルビン酸に再び変換されます。
酸素が不十分な場合、乳酸が細胞内にたまり続ける事になります。すると、細胞内のPHが-方向に傾き、カルシウムのトロポニンへの結合を抑制することを原因の一つとして筋収縮活動を妨害すると考えられています。
これを防ぐため、乳酸は肝臓に運ばれ、再びグリコーゲンに合成されます(コリ回路)。ただし、乳酸の除去能力は個人差があるものの限界があります。
このように、解糖系は酸素を使用せずに素早くATPを生成することができる一方、酸素の供給が不十分な場合は60秒~180秒ほどで反応を停止してしまいます。また、解糖系は、レジスタンストレーニングを行う際のメインのエンジンになります。

まとめ

今回は、ATPから筋収縮に必要なエネルギーを取り出す仕組み、ATP-CP系と解糖系の二つを解説いたしました。
次回はTCA回路~電子伝達系について説明いたします。


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